会いたい

 私は不意に、別れの予感におののいた。

 いってしまう。この人も。

 それは漠然とした感覚だった。
 けれど、このまま待っている人が来ないのなら、幽霊は哀しみでなくなってしまうのではないか。
 そんな気がした。

「どうして来ないの?
 あなたが、こんなに待ってるのに――こんなに待ってるのに」

 何かが、心の中で私の意志とは違う感情を創りだしていた。
 ひどく胸をつまらせる想い。
 そして、理解した。
 これは彼のもの。
 彼の心。
 そして私と同じもの。

 こんな感情を、私は知っている。

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