丹朱の橋、葉桜のころ
見るな、
見るな。

ああ、
僕だって、
望んで失くしたわけじゃない。

お前らにわかるか、
わかるか、
このむなしさ。

かわいいだなんて、
よく言ってくれる。

ああ。
わかるか。





ボクの下で、
彼女が首だけ動かし、
心配そうにこちらを見つめてミャーゴと鳴いた。

夕焼けの威力は、
驚くほどの速さで失われていく。







朱に塗られた橋は陰り、
葉桜は、
闇にとけて見えなくなってしまった。










―― 了 ――
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