伯爵と妖精~新しい息吹~
「やっぱり伯爵のせいか…」
倒れたリディアを心配してやって来たニコなのだが、さっきリディアが泣きながら話していた話を立ち聞きしてしまった。
「あぁ…、いつになったら伯爵の女癖は直るんだよ。リディアが可愛相だ」
独り言を呟いていたニコの前に黒い影が現れた。
「リディアさんが可愛相とはどういうことでしょう?」
「うわっ!!」
焦って階段から短い足を滑らすとこだった。
「な、なんだ。レイヴンかぁ…、驚かすなよ」
額の汗を拭うポーズをする。
「すみません、驚かすつもりはありませんでした」
「なら俺は構わないんだよ」
「さすがニコさんは紳士ですね」
褒められ胸を張る。
「まぁな。お、俺今から用があるからまたな!」
そそくさ逃げようとしたが、
「ニコさん」
呼び止められビクリとした。
「な、なんだ?」
「エドガー様の女癖は、もうございません」
きっぱりと言うとどこかへ行くレイヴン。
立ち去ったのでほっとしたニコだが、
「もしレイヴンが伯爵にいったらそのウェンベルト夫人とか言う奴に何するかわかんないな…」
全く面倒な奴らだと言いながら、トコトコ走って行った。


リディアの気持ちが落ち着いてベットで横になっていたら、
「リディア、入るぞ?」
ドアが開いたら、ロープで結んだポニーテールを揺らして一人の女性が入って来た。
「ロタ!来てくれたの?」
親友のロタが来てくれたと思うと嬉しくなったリディア。
「リディア、体調大丈夫なのか?」
心配そうに覗き込んだロタ。
「えぇ、もうすっかり平気よ」
明るく笑うと安堵の表情をして、
「ならよかった。そうだ!ポールが新しい絵が完成したそうだぞ」
嬉しそうに話す、ロタったら本当にポールさんが好きなのね、
「本当に?じゃあ見に行かなきゃね」
楽しそうに会話を続けていたら、
「リディア?」
急な吐き気に襲われうつむいた。
「やっぱ気分悪いんだろ?大丈夫か?」
「えぇ、でもどうしちゃったのかしら?」
吐き気はおさまったが、気分は悪くない。
「じゃあ、あたしはこの辺で帰るよ!体には気をつけろよ」
優雅とは言えない足取りで帰るロタに手をふった。
「でも、本当にどうしちゃったのかしら…?」
体に少し違和感を感じたリディア、
するとまた吐き気がした。
「奥様!?」
ドアを開け駆け寄るケリー、
「やはりもう一度お医者様に来てもらいましたわ」
顔を上げたら、見知らぬ女性が立っていた。
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