ありのままの、あなたが欲しい。
俺の部屋にはもう男以外は誰も入れないことにしている。


今まで行けば入れる状態が普通だった亜優にとっては、そんな俺の変貌に驚いているようだった。



「ねぇ、今夜会わない?久々に家に来てよ」



利用者さんが集まるホールへと続く階段を上り始め、周りに人がいなくなったのを確認すると亜優は小声で誘ってきた。


特に断る理由もないし、溜まってないと言えば嘘になる。



「……わかった」



だからそう応えたのだが。


窓から暑い日が差し込む階段を上る足はなんだか重く感じた。


今日は朝から彼女に会えたのに…


いまいち気分が沈んでいくのは何故なのだろう。



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