ありのままの、あなたが欲しい。
今日はこれから花火を見ることになってるんだ。


マナトくんと──夏芽さんと。



遊園地に行った以来、俺達の間の空気は明らかに変わっていた。

それは俺が自分の気持ちに気付いたせいもあるのだろうけど。



俺は藤咲さんのことを“夏芽さん”と呼ぶようになったし、敬語も薄れてきた。

彼女は彼女で、以前にも増して優しくなったような気がする。



そんな俺達の変化はごく自然で、三人で会って何かするのも当たり前のようになっていた。



──“夏芽さんが好き”


その想いも日に日に確かなモノになって、夏の太陽で日焼けしたように俺の心に焼き付いていった。


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