聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「んー実は保健室でキスしてたの見てたんだ……」

 悪ぃな、と付け加えておく。


「そ、そっか、見てたのか……」

 そう言って気まずそうにしている高志に俺はもう一度聞いた。


「で? どうなんだよ。弘樹と友二人っきりにして、不安に思わねぇのか?」

 その質問に、少しくらいは不安だって答えが返って来ると思った。
 なのに……。

「いや、別に……」

 思わず何でだよって表情になる。

「だってよ、弘樹は信頼出来る奴だし、それに友のこと本当に友達としてしか見てないから……」


 だから大丈夫だって?

 よく信用とか信頼とか、簡単に言えるよな。

 その弘樹だって、六年前俺を置いて逃げたのに……。

 誰が信用出来るかってんだ。


 俺は高志に「そうか」とだけ言って会話を終わらせた。



 最近、何だかイライラする。

 今まで器用に被っていた仮面が付けづらいときがある。


 その多くが友に関わる事柄のときだ。


 やっぱり、友とはもう少し距離を置いた方が良いな。


 本当は完全に断ち切ってしまえば良いんだろうが、何故かそれはしたくなかった。


 俺だけが知る友の舌の感触。

 俺だけが知る友の肌。

 俺だけが知る、友の感じてる顔……。


 それらを手放す気にはなれなかった。

 友は、俺のモノだから……。



 だから友、お前は俺のトコまで堕ちて来いよ。

 しばらく距離を置いたら、今度は今まで以上にいたぶって、堕としてやるから……。


 お前を……俺の色に染めてやるよ……。


 
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