聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「う……ん。まあ、それくらいなら……」

 とあたしが許可すると、日生……拓馬はニッと嬉しそうに笑った。


 その笑顔があまりにもキラキラしていて、あたしは昨日の怒りをすっかりなくしてしまった。


 でも、目をぱちくりさせ警戒心を解くと、スキありとばかりに頬にキスされた。


 チュッ


「わあ!?」

 わざとらしく音までしっかりと立てて。

「なっ!?」

 黒斗が慌ててあたしの側に来る。


 拓馬はフフンと鼻で笑って黒斗に言った。

「昨日も言ったけど、ちゃんと守らねぇとスキ見て奪っちまうぜ?」

 そして片手をひらひらと振りながら、拓馬は先に教室に戻って行った。



 やっぱり小悪魔だ、アイツ。

 スキ見せないようにしないと……。


 そう心を決めていると、突然黒斗があたしの頬をティッシュで拭った。

「わ!? なに!? ちょっ、痛いよ」

 あまりにも強い力でゴシゴシと拭うから、ティッシュがボロボロになると同時にあたしの頬が熱くなる。


「……なんつーか、色んな意味で悔しい……」

 そう呟いた黒斗は、次に赤くなっているであろうあたしの頬をベロリと舐めた。

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