聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~

「ああ、俺も友が好きだ」



 宣言すると、沈黙が流れる。

 俺も高志も、何を言っていいのか分からない感じだ。


 しばらくたって、高志の方が沈黙を破った。

「……そっか。……実はな、この間屋上でお前らがキスしてたの見ちまってさ……」


 屋上で?

 ああ、二学期初日のときのか。


 と、俺が記憶の糸をたどって思い出していると、高志は続けて話し出す。


「それでオレ……オレはそこまで出来ねぇなって思った」

「は? そこまで?」


 どこまでだよ?


「っその……。ディープキスとかのことだよ!」

 高志は顔を真っ赤にして言い切った。


 ディープキスくらいでこんなに真っ赤になるとは……こいつ案外ウブだったんだな……。


 なんて、俺は結構冷静な目で高志を見ていた。


「とにかく! お前らのキスシーン見ちまって、オレは友にそこまで出来ないって気づいた」

 俺の顔を見て話すのが恥ずかしいのか、高志は地面を見ながら言っている。

「友は男だから、そういうディープキスとか……Hとかしたくないって思った。やっぱりオレ、ホモじゃねぇし」

 そこまで言うと、今度は悲しそうな目で俺を見る。


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