聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「そうしよう。あたし、これから別で用事あるし」

 あたしがそう言うと、高志は渋々ながら「仕方ねぇなぁ……」と引いてくれる。


「じゃあ解散な! それじゃあ由理香ちゃん、またな。皆はまた明日!」

 そう元気良く弘樹が挨拶し、先に帰路についた。

 続いて高志が皆に同じ様に挨拶して弘樹を追う。

「待てよ弘樹! 途中まで一緒に帰ろうぜ!」


 そして弘樹と高志を見送っていると、由理香ちゃんがあたし達に向かって挨拶した。


「お兄ちゃん、友お姉ちゃん。今日は誘ってくれて有り難う」

 続けて頬を染めて拓馬を見る。
 
「それと、拓馬さんも有り難う御座いました。凄く楽しかったです」

 そう言いながらした笑顔は、とてもキラキラしていて綺麗だった。


 恋する乙女の顔。

 きっとこの笑顔は、今までで一番綺麗な笑顔だと思う。


「それじゃあ、さようなら」

 ペコリとお辞儀をした由理香ちゃんは、そのまま家の方向へと歩いていく。


 そんな由理香ちゃんの背中を見つめながら、拓馬が口を開いた。

「なあ、黒斗……」

「……何だよ?」

 拓馬は黒斗の顔を見上げ、ニッと笑って続ける。

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