聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「高志、おはよ」

 いつもだったら高志の方から声掛けて来るのにそれが無い。
 だからあたしは自分から声を掛けた。


「え、あー……はよ」

 高志は挨拶は返すものの、視線を逸らす。



 なんだか昨日から高志の様子がおかしい。

 あたしを避けているような気がする。


 今までウザイほどに構ってきていたのに、それがばったりとなくなった。



 ……調子が狂う。


「高志昨日からおかしいよ? 何かあったのか?」

 あたしは側に行って高志の顔を見上げた。
 背の低いあたしは、高志とは頭一つ分ほど差があるから見上げる形になる。


 すると、高志の顔が一気に赤くなった。

 確か昨日もこんな感じになってトイレ行っちゃったんだっけ。


「ホントどうした? 顔赤いけど、熱でもあるのか?」

 流石に心配になって、あたしは高志の額に手を当てる。

 と同時に、いきなり抱きしめられた。


「ぅわぁ!?」


 突然の事に叫ぶと、高志はすぐさま離してくれる。


 高志は一瞬戸惑った表情をしたけど、すぐに笑い出す。

「あ、ははは。ワリィワリィ! お前ホンット小せぇんだもん。マジ女かと思ってよ」

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