聖石学園~意地悪で腹黒のナイト様~
「蓮先輩も何か買いに来たんですか?」

「ああ。黒斗はお茶か……僕は何にしようかな?」

 蓮先輩は、顎に手をあて少し悩んでからスポーツドリンクのボタンを押した。


 ガコン、という音で落ちてきたドリンクを取った蓮先輩は、部屋に戻るかと思ったのにその場で口を開けて飲み出した。


 俺は正直この先輩が苦手だ。

 正確には怜華先輩の方が更に苦手だけど……。


 何故だか見透かされているような気分になる。

 本当の俺も。
 その更に奥にある闇も……。

 そんなはずはないと分かっているのに、どこかそう思わせる雰囲気がある。



 俺は残りのお茶を一気に飲み干してゴミ箱に投げ捨てた。

「じゃあ、俺はこれで」

 さっさと部屋に戻ろう……。


 そう思って出入り口に足を向けると、蓮先輩に呼び止められる。


「待ってくれ、ちょっと聞きたい事があるんだ」

「……なんですか?」

 仕方なく振り返る。

 すると蓮先輩は見透かすような目で俺を見ながら聞いてきた。


「黒斗くん、君は友のことが好きか?」

 突然何を聞くのか……。

「好きですよ、友達としてですけど」

 いつもの仮面をかぶり、人好きするような笑顔を向ける。


「うーん。女の子としてどうかを聞きたかったんだけどね」

 困ったように微笑む蓮先輩に、不信感を覚えた。


 何でそんなことを聞く?
 まさか友にちょっかい出してるのを見たのか?


 そんなヘマを俺が踏むはずは無いとは思いつつも、蓮先輩の目に不安が募(つの)る。



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