死が二人を分かつまで
日常は繰り返されていく。
進藤は大学近くに出来たコンビニエンスストアで新たにバイトを始めた。
店長夫婦に気に入られ、バイト仲間にも恵まれ、プリズムとは違う雰囲気の中で自分でも驚くくらい楽しんで仕事をこなし、結局卒業するまでそこで世話になったのだった。
毎日自分のやるべき事を精一杯こなしているうちに、いつしか小夜子の事も思い出として受け止められるようになって行った。
その後、まるきり女性との付き合いがなかった訳ではない。
もしかしたら本気になれるのではないかと思えるような出会いもあった。
しかし、結局は小夜子を越える女性は現れなかったのだった。
彼女達が悪いのではない。
過去と決別できない、女々しい自分がいけなかったのだと、進藤は自覚している。
そして最近、きっと自分は一生独身を貫き通す運命であろうと、改めて思うようになった。
生涯で最も愛した女性は、もうすでに、この世にはいないのだから……。