死が二人を分かつまで
「あ」


進藤はそう呟きつつ、スーツの胸ポケットを押さえる。



「電話しなくちゃいけない所があったんだ。外でかけて来るから」


言いながら体の向きを変えた。


「あ、はい」


口からでまかせだった。

その場にいるのが耐えられなくて、思わず口を突いて出ていた。


背後から、高階の遠慮がちな声が聞こえて来る。


「どこで知り合ったの?普通、サラリーマンのお友達なんかできないよね?」


「え?そう?」


その声を振り切るように、進藤は自動ドアを抜けた。


一瞬ガラスに映った自分の姿に、慌てて目を逸らしながら。


年齢の割に若いとは言われるが、彼らと並んだ時に世代に差がある事は一目瞭然だった。


同級生と話すさとしが、とても遠い存在に感じられた。


そして…………。


そういう考えに至った自分の、心の奥底にあるものに。


津田の言葉の真意に、ようやく気付いてしまった進藤は、深い敗北感に包まれていた。


自分自身に最後の問い掛けをする。


そうか、やっぱり、そうだったんだよな……。



進藤は夜空を見上げ、深いため息を漏らした。



『ダメだ、津田。もう、何の言い訳も、思い浮かばないよ』
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