死が二人を分かつまで
誓い
「お待たせしました」


進藤が電話をかけているふりを終わらせた所で、ちょうどさとしが中から出て来た。


「……もう良いの?」


「はい」


その返事を聞くやいなや、進藤は早足で歩き出す。

さとしも慌てて後に続いた。


二人はそのまま交差点まで戻り、進藤のアパートを目指した。


いつも話題を振る進藤が無言である上に、いつになく厳しい表情で黙々と歩を進めていたので、二人の間には気まずい空気が流れていた。


さとしはそんな進藤の様子に戸惑いながらも、何をどう言ったら良いのか分からず、ただひたすら歩調を合わせて付いて行った。


アパートにたどり着き、ドアを開けると、進藤は先に靴を脱ぎ、廊下を進んで行ってしまう。


「お邪魔します…」


さとしが遠慮がちに声をかけつつ上がり込むと、寝室の前まで行っていた進藤がようやく立ち止まり「ちょっと待ってて」とポツリと言葉を発した。


進藤は室内に入り、ベッドサイドの机の引き出しを開け、中から腕時計を取り出した。


針は止まっていた。


長い間放置していたのだから当然である。


電池を入れればまた動き出すのだから問題はないと思っていたが……。
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