死が二人を分かつまで
一昔前はシングルマザーに対して偏見があったかもしれないが、今の時代を生きている者にとってはさほど珍しい事ではない。


伯父との関係は円満とは言い難いようではあったが、それでも、そんな境遇を感じさせないほどさとしは明るく素直でとても魅力溢れる人柄であるからだ。


驚くべき点は、実の父親が生きていて、そうとは知らずに2人が出会っていたという所だろうか。


読み進むうちに、小夜子以外誰も知らなかった真実が徐々に明らかになっていった。


小夜子は「他に大切な人ができた」という手紙を残し、進藤の前から姿を消した。


進藤はそれを「他に恋人ができた」という風に判断した。


そんな事は一言も書かれてはいなかったのだが、そう解釈するのが当然だろう。


今から考えれば大切な人というのは、自分の身体に宿った新しい命の事であったに違いない。


しかし小夜子自身、進藤をミスリードするつもりであえてそういう言い回しを使ったのだろう。


『進藤には負担をかけたくない。しかし嘘はつきたくない』という、葛藤の末の、別れの言葉。
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