死が二人を分かつまで
「あそう。ま、「自称芸能事務所のマネージャー」と二人きりじゃ、確かに不安だよね。名刺なんか誰でも簡単に作れるし」

「いえ、そんな…」

「良いって良いって、弁解しなくても。その点心得てるから。戻って来てくれただけありがたいよ。あ、申し遅れました。私こういう者です」


突然口調を改めると、男は名刺を取り出し、進藤に向かって差し出した。


【タグチプロダクション津田昌哉】と印字されている。


進藤もきちんと挨拶すべきかどうか迷ったが、仕事ではないし、何となく、まだよく知らない人物に自分の身分を明かすのはためらわれた。


「で?どうですかね?大人の男の人から見た私の印象は」


津田はニヤニヤしながら進藤に視線を向ける。


『…何だか嫌味な男だな。苦手だ、こういうタイプは』


「いや、どうとおっしゃられましても」


内心複雑な思いを抱きながらもそれを隠し、進藤は口を開いた。


「芸能関係の方にお会いするのは初めてですし、スカウトというものがどのように行われるものなのか分かりませんので、正直判断に迷います。ただ、そちら様のプロダクション名は耳にしたことがあります」
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