死が二人を分かつまで
しかし、当の本人の表情はすこぶる冴えなかったが。


「でも、突然のことで、何だか心細くなってきて……。あの、とても図々しいんですけど、進藤さんにも一緒にお話を聞いてもらいたいんです」

「え?お、俺?」

「お願いします」


進藤は困惑しながらも、必死に懇願するさとしの言葉に抗えず、手を引かれるまま店内へと入って行った。


一番奥の席に、驚いた様子でスカウトマンらしき人物が座っているのが確認できる。


進藤はとまどいながらも、さとしと並んでその男の対面の席に腰を下ろした。


ウエートレスが注文を取りに来たので、とりあえずコーヒーを頼む。


相手の男も今の状況が良く飲み込めていないようで、鋭い視線を進藤とさとしの間で往復させると「え?それで?」と言葉を発した。


「さとし君、そちら、どなたかな?」

「あ、えっと」


男の言葉に、さとしはチラリと進藤に視線を向けてから解説した。


「こちら……。進藤さんは、最近知り合いになったばかりの方なんですが、大人の人だから色々アドバイスをいただけるかと思って、同席をお願いしました」
< 42 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop