藁半紙の原稿
生地を選び終えると、私達三人はそのまま町に買い物のためくり出した。
それぞれの目的で必要な食材を求めて、私と清太郎さんは並んで八百屋の前で身を屈める。
霎介さんはまたふらりと辺りをぶらぶらしに行ったらしい。
私が小松菜の良し悪しを見定めようと手に持つ二つを見比べていると、横にいた清太郎さんがぽつりと私の名を呼んだ。
「この度のことは本当に申し訳ないことをした。
物で解決することじゃないが、どうか今後とも変わらぬ付き合いをしてくれると嬉しい」
「そんな…
もうやめましょう?
もう何度だって謝ってくれたじゃあないですか」
こちらも困ってそう返すと、清太郎さんは頭を振って続けた。
「こういう事は簡単に済ませて良いわけがない。
それに…」
「…それに?」
両の手に人参と南瓜を持ったまま意味ありげに呟く清太郎さんを覗き込む。
今まで謝ってきた時のような、罪悪感の塊のような顔ではなかった。
「俺には、長く想ってきた人がいる」
八百屋の主人は他の客につやつやと光る茄子を売りつけるのに執心している。
背後の雑踏も、私達の会話を気にするような者はいなかった。
「身分違いで、叶わぬ恋というやつに嫌気が射していたのも、きっとあったんだ」
それぞれの目的で必要な食材を求めて、私と清太郎さんは並んで八百屋の前で身を屈める。
霎介さんはまたふらりと辺りをぶらぶらしに行ったらしい。
私が小松菜の良し悪しを見定めようと手に持つ二つを見比べていると、横にいた清太郎さんがぽつりと私の名を呼んだ。
「この度のことは本当に申し訳ないことをした。
物で解決することじゃないが、どうか今後とも変わらぬ付き合いをしてくれると嬉しい」
「そんな…
もうやめましょう?
もう何度だって謝ってくれたじゃあないですか」
こちらも困ってそう返すと、清太郎さんは頭を振って続けた。
「こういう事は簡単に済ませて良いわけがない。
それに…」
「…それに?」
両の手に人参と南瓜を持ったまま意味ありげに呟く清太郎さんを覗き込む。
今まで謝ってきた時のような、罪悪感の塊のような顔ではなかった。
「俺には、長く想ってきた人がいる」
八百屋の主人は他の客につやつやと光る茄子を売りつけるのに執心している。
背後の雑踏も、私達の会話を気にするような者はいなかった。
「身分違いで、叶わぬ恋というやつに嫌気が射していたのも、きっとあったんだ」