はじめまして、素敵な殿方。

ささやかな日常を!!

南校舎。

そこはもう何年も使われていない廃墟で、いまにも何か出てきそうなそんなまがまがしい雰囲気をもっていた。
周りには草が生え放題になっており、一部の生徒の中では、お化けがでるだとか、ホームレスがすんでいるだとか、物騒な噂が絶えなかった。
春日野 翠はそんなことお構いなしに、ズカズカと南校舎へと入っていった。

「ケホッ…ケホッ…っ…おいっ!!!虫!!お前ちゃんと掃除してるのか!乙女系男子としてあるまじきことだぞ!!」

翠はある一室に勢い良く足を踏み入れ大声を張り上げる。

「虫って呼ぶのいい加減やめてよっ!!俺泣いちゃう!掃除なんてかなにやらせればいいじゃん!あいついつもポテチ食ってるからね!何もしてないからね!」

虫、こと夏虫 晴は泣きそうな顔で掃除に取り掛かる。

「かなぶん!!ポテチを私に渡して虫と一緒に掃除をしろ。」

古びた教室を、翠はズンズンと進んでいく。

「ねぇ。その名前やめてよ。生理的に受け付けないんですけど。」

嫌々、冬木 かなも掃除に参加する。

「ああ、こんなことだったらもっと早く手をつけておけばよかった・・・って、なんで俺たちしか掃除してないの!?翠ちゃん働いてよね。」
「うるさいぞ。虫。私は体質的にな、だめなんだ。埃とか。」

かなから取り上げたポテチを、翠はぼりぼりと食べる。

かな、晴、翠。

三人は毎日のようにこの南校舎を使ってあることをしている。

「あーーー!!あたしのポテチが!!翠このやろう。全部食いやがったよ!デブまっしぐら!!」
「お前のものは俺のもの!!私のものは私のもの!!」
「ジャ●アンか!!」

掃除を一通り済ませた三人は、晴持参のコタツに入り、雑談に耽っていた。

「そういえば翠ちゃん。今日やけに遅かったよねー。なんかあったの?俺よりも遅いとかめずらしい。」

春はマフラーを編みながら、翠に問いかける。

「いやぁ、隣の席のヤツに数学教えてもらってた。あと、男子と廊下で衝突した。」
「また教えてもらってたのかよ。内田も大変だな。」

内田とは、翠の隣の席の男子の名前だ。

「で?誰とぶつかったの。」
「馬。」
「「馬!?」」
「うっ・・・馬が校内にいるの!?大変だぁ!!おじいちゃんに連絡を・・・・」
「落ち着け!春!!いちいち校長に連絡しないでよっ。」

春は校長の孫なのだ。同様を隠せない春を、どうにかかなが落ち着かせる。

「それで・・・馬って?」
「うーん…秋馬葵。」
「最初からそう言えよっ!!!」

『キーンコーンカーンコーン』

五時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

「あ、そういえば俺たち五時間目サボっちゃったね。どうする?」
「あたしはいいや、次の時間も休む。」
「・・・私は出る。」
「そっかー。いってらー。」

翠は一人、南校舎を出て、来た校舎へとはいっていった。
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