【短】最狂恋愛活劇
泰虎は俯せに倒れたまま、ピクリとも動かない。


泥酔したバカ親父達も死んだように眠ったまま。


「宗太郎…もういいから…連れてって」


色々あり過ぎて、今は立つこともできなかった。


「でも…っ!」


宗太郎はまだ納得いかないようだったけど、震えるあたしを見て、やっと落ち着いたみたい。


「掴まっててくださいね」


軽々とあたしをお姫様抱っこし、そのまま料亭をあとにした。


歩くリズムが心地好くて、ギュッと宗太郎にしがみつく。

宗太郎の温かさに触れたら、我慢してた涙まで溢れてきた。


無言のまま宗太郎は近くの公園のベンチに、ゆっくりあたしを下ろした。


それでもあたしは、宗太郎にしがみついたまま。
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