恋色カフェ


さっきだって、心配だったから迎えに来た、って格好つけずに正直に言ってくれたらよかった。

……もちろん、言わぬが花、っていう言葉があることもわかってはいるけど。



肝心な、大事な一言が聞けていないから──、だから。

勝手でズルい私は、禁断の箱の中をこっそり、覗きたくて、覗きたくて、たまらない。



「でも、そう言うってことは、彗は俺のことをもっと知りたいと思ってくれてるんだ?」

「……え、」

「違う?」



──ううん、違わない。


でも、簡単に頷いてしまうのが悔しくて、私は曖昧な返事をしてみせる。



「俺は彗のこと、もっと知りたいと思ってるよ」


こんな時ばかり、私が嬉しくなる言葉をスルリと口から滑らせないでほしい。

勢いよく跳ねた心臓は、当分おさまりそうもない。


< 140 / 575 >

この作品をシェア

pagetop