恋色カフェ


万由さんはフロアスタッフ共用のデスクに座ると、引き出しから何か書類を取り出している。

私はさっきのことが気になりながらも、それを口にすることは出来ずにいた。



「……さっき」

「……え?」

「ごめんなさいね。突然大きな声出しちゃったから、びっくりしたでしょ」

「あ……ううん」


口火を切ったのは、彼女の方だった。



「……でも。森谷店長、女癖悪いから気を付けて。前からああだったのなら、高宮さんもわかってると思うけど」


前はあんなじゃなかったよ、と言おうとしたけど、それより先に万由さんが口を開いた。


「従業員には、さすがに手をつけてはいないみたいだけどね。お客さんには今まで、かなり手を出してるから……あの人」


< 19 / 575 >

この作品をシェア

pagetop