恋色カフェ
椅子に座ったままくるりと反転して引き出しを開け、伝票を掴む。
そこに並んだ文字列を、ただ見つめた。3年前と同じ店ではあるけど、いる場所が違うんだ、と改めて思いながら。
────嫉妬。
自分でもわかってる。
ここにいたくないのは、嫉妬心を抑えられないからだ、と。
仲良さそうに話している2人を見ておぼえる嫉妬も、当然、ある。
でも、それより……。
もし私が3年前と同じ、フロアスタッフだったら。あんな風に店長とやり取りをするのが、私だったら────。
そんな『もし』を考えてしまう自分に、嫌気が差す。今の仕事だって、満足に出来ているとは言えないのに。
「彗さん」
ふいに名前を呼ばれて、肩がわずかに震えた。「んー?」と何気ない返事をしてから振り向く。
「近いうち、晩飯食いにいかないすか」