恋色カフェ
食事を終えて、家まで送っていくという勝沼君の申し出を丁重に断り、私達は近くの駅で別れた。
一人になってから、鞄から携帯を取り出し、電源を入れる。案の定、メールの着信を知らせる表示が目に入り、胸が、詰まった。
着信拒否ってどうするんだっけ。メールも拒否するにはどう操作すればいいんだろう。
家に帰って説明書を見ながら、なんて、呑気なことしていられない。
恐る恐る、電源を落としていた間に来たメールを開く。指先が、震えた。
『今度、アンバーに行くよ』
今、焦っているのは、苦しいのは。秀人にお金を借りに来られることを恐れているからじゃないと、もう気づいてる。
“────それが楽なことも、よく知ってる”
本当はちっとも楽なんかじゃなかった。秀人の好意を利用していたことが、ずっと苦しくて仕方なかった。
彼を、どれだけ傷つけていたのか。
現実を突きつけられるのが、恐いんだ──。