恋色カフェ
「店長、この間の件なんですけど……」
「どれ見せて。……パンケーキか。最近流行りだよね」
「アンバーにはデザート系のフードが無いからいいかな、って」
「でも、他の店と差別化を図らないと、うちで出す意味はないよ」
「そう、ですよね……」
店長からの提案で、先日から私もアンバーの新メニューを考える一員に加わった。
今は秋からのフードのメニューを、店長とキッチンスタッフと私で考え中だ。
「ちょっと安易でしたね。もう少し考えてみます」
前よりも一歩踏み出せたのかは、わからない。でも、今は自分のやれることを精一杯頑張りたい。
どんな、小さなことでも。
「ああ、ちょっと待って」
「はい?」
「他の店がどんなパンケーキ出してるのか、俺よく知らないんだよね」
店長はそう言って、不敵な笑みを浮かべている。
「市場調査」
「……え?」
「パンケーキ。今日、食べに行こうよ」
店長は机に手をついて私の顔を覗き込む。ね、なんて可愛く言われてしまうと、つい頬が緩んでしまう。
「ニヤけてる。やーらしい」
「な……っ」
店長の肩を押そうとすると、それより一瞬早く、店長の唇が私のそれに重なった。
「また、事務所でそんな……」
「俺はいつでもしたいの。それにスリルがあった方が燃えるでしょ」
店長は――相変わらず。
でもここからは2人で、ゆっくり深めていければいい。
「スリルが無くったって、私は煕さんが好きですよ」
パタリと閉まる扉を見つめながら、店長の照れた顔を思い出して、私はまた頬を緩ませた。
――End――


