鬼遊び

意外性

俺達がこの世界に来てかれこれ3時間は経った


「さて、貴様等はちとばかし臭い」

「かなり臭い」

ハクとホロのいきなりの言葉に驚きを隠せない。
臭いってなんだよ。
ちゃんと風呂入ってるっつの

とは思っても本当に臭いんじゃないかと思ってしまい自分の臭いを嗅いだり蓮司の臭いを嗅いだりとしてみたが臭いとは思わない


「違う違う。そういう臭いではない。人間臭いと言ってるのだ」


「んなこと言われたって俺達が人間であることは変えられねぇだろ」


「そうは言ってもこの臭いじゃ餓鬼でも人間だと気づくぞ。少し待ってろ」


ハクは部屋の奥に消えた


「てめぇらが思うほど甘い世界じゃねぇんだ。お嬢は人間の肉は好まねえが、外に出れば人間の肉を好物にする奴らは腐るほどいる」


「そんな・・・。」


「この世界に住むものたちはな。てめぇらが俗に言う動物や獣はもちろん化け物だっていんだ。てめぇら人間が迷信だと思ってるような生き物だって存在する」


「やっぱり魔法使いとかもいるってことですか?」


「この世界には一人だけ魔法使いがいる。気にくわねぇがな。」


「でも、ハクは魔法使いは存在しないって・・・」


「お嬢はそいつが嫌いでな。認めようとしねえんだ。まあ、実力で言ったらお嬢も魔法使いみたいなもんだがな」


「そういえばハクは魔法じゃなくて呪いだって言ってたよな」


「魔法使いと呪い師の違いってわかるか?呪い師は名を持たぬ者。魔法使いは名を持つ者。名があるかないかってのは大きな違いなんだよ」


「名前ってそんなに凄いもんなのか?」


「名が何だか知らんのか小僧」

俺は小童で蓮司は小僧か・・・


「名前なんて自分を指すためだけのもんだろ。」

「間違ってはいねぇな。だが、名ってのはもっと大事なもんだ。自分が誰であるかを示すもの。自分が自分であることを証明するもの。名を持たぬ者は生きる世界も決められてしまう。」


「名前ってそんなに凄いものだったなんて、知りませんでした」


「そうだ。名は大切にしろ。それから、魔法使いと呪い師には簡単に名を教えてはならんぞ」


「なんで?」


「さあな。お嬢がそう言ってたんだ」


「さあなって・・・ハクも呪い師じゃねぇか。信用できんのか?」


「お嬢は呪いや魔法に関して嘘はつけん」


「そんなのどうしてわかるんですか」


「そういう契約だ。呪い師も魔法使いも簡単なモノではない。契約を結ばなくてはならんのだ。」


「魔法って大変なんですね。」





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