鬼遊び


話し込んでいると何かを手にしたハクが戻ってきた


「よし、できたぞ貴様等。食え」

テーブルに料理を置いて行く


「腹も減っただろう。ホロも食え。あ、だが、人型になって食えよ」


ハクの言葉にホロは(多分)顔をしかめた
いや、狼の表情なんて怒った時くらいしかわかんないし

渋々といった感じで二本足で立ち上がったかと思えば人間になった


「なっ!?これも呪いってやつか?」

「ふえー。イケメンです!」
「由紀は観点そこなんだ」

「呪いじゃねぇ。この世界にいる奴らには常識だ。何かと動きやすいからな。」

「喋るな。食え」

さっさと食えと言わんばかりに料理をズイッと差し出す

最初に食べ物を口にしたのはホロだった

器用にもスプーンやフォークはおろかナイフも使いこなしていることに驚いた


「貴様等、食わんと臭いは消えんぞ」


「そうだ。食え。てめぇら臭いんだよ。」

ハクの手料理を食べたら人間臭さが消える?
そんな馬鹿な話があるのか?
冗談だろ


そんなことを考えているとハクが急に立ち上がった
そして玄関に向かって行った

それを見たホロが舌打ちをした


扉を開けると何やらナイスバディな女が立っているのが見えた


「てめぇら、早く食え。一口でもいい」




扉の方から聞こえる会話に耳を傾けながら恐る恐る口にした




「ごきげんよう魔女さん」

「山猫がこんなところに何の用だ。」

「いやね。おいしそうな匂いがしてさ。匂いを辿ったら魔女さんの家にたどり着いたのよ。」

「調度昼飯を食べていたところだ」

「随分と豪勢な昼食ね」


何の会話だろ。世間話みたいな感じかな?


「いるんでしょ?若い人間」

「さあ?何のことだ。」

「惚けても無駄よ。私、鼻だけはいいんだから」

「確かにお前は鼻が利くが男を見る目は利かないじゃないか。」

「余計なお世話よ!ねえ、指一本でもいいのよ。」

「何度も言わせるな。何のことだか私にはわからん」



指一本・・・!?
人間って単語が聞こえたぞ!


「てめぇら、食われたくなきゃ急いで飯を食え」

ホロのその言葉に俺達は皿にある料理を光りの早さで平らげた


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