祐雫の初恋
 
 慶志朗は、祐雫の笑顔を思い出しながら、

別荘への道を後戻った。



 途中で、振り返り

(何故、またお会いしましょうと誘わなかったのだろう)

と悔やんでいた。



 そして、祐雫の手の柔らかな感触を想い出しながら

(きっと縁があれば、また逢えるはず)

と思い直して、帰りの道を急いだ。



 不思議なことに別荘までの道程が往きと比べて長く感じられた。


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