定義はいらない
「いや、だって早川さんとかに話しちゃいそうだからさ。」

「そんなに恥だと思うようなことしなきゃよかったじゃないですか。」

「恥じゃないよ。」

「じゃあなんですか?」

「ん~。」

「私は傷つきましたよ。なんか、私としたこと恥だと思われたみたいで。」

なんだか、ちょっと泣きそうになる。

なんでだろう。

「それは可哀想なことしたなぁ。」


なんだ、こいつ。

「可哀想って。」

「いやいやいや、そんなつもりはなかったんだよね。ごめんごめん。」

「松木先生って上から目線ですよね。」

「可哀想って言葉は上から目線だから出てくるんですよ。」

「俺、誰に対しても上からだからなぁ。」


笑える。

この人、本当に変。

素直に謝られて私の怒りは行き場を無くしてしまう。

いっそ、このまま憎ませてくれていればまだ楽かもしれないのに。
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