定義はいらない
「話しませんよ。」

「あぁ。」

「話したって私に何の得もないし。」

本当にその通り。別に付き合ってるわけじゃないし。

ただ単に私が馬鹿な軽い女に見られるだけのエピソードなんて

自分から吹聴するわけないじゃないか。

「そっか。」

それともこの人は寝たことを自慢にされるキャラだと

自分で思っているのか?

「分かった。信じる。」

「え?」

「俺、鈴木さんのこと信じるよ。」

「ありがとうございます。」

「友達でいたいし。」

「友達?」

「鈴木さんといるの楽しいしさ。いろいろ教えてよ。」

「私が教えるの?」

「そう。病棟のルールとかさ。その代わり俺が難しいこと教えるからさ。」

「難しいことならもっと上の先生に聞きますよ。」

「そっか。」


2人で笑う。

「じゃあもう寝るか。」

「はい。」

「おやすみ。」

「おやすみ。」


共通の秘密のある新規の男友達ができた。
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