定義はいらない
次々に焼き肉は届く。

私は「タンが食べたい」とだけ希望を言い

あとは全て松木先生に任せた。

どこが食べたいなんて希望ない。

だって何を食べたって美味しいに決まっているんだから。


「で、どうよ、病院は。」

「何も変わらないですよ。」

「まあな。」

「でも研修医の先生たちは松木先生の代の方が楽しかったかも。」

「へぇ。なんで?」

「別に今の先生たちもいいけど、前の先生たちの方が親しみ易かった。」

「飲み会とかやってないの?」

「やってない。」

「へぇ。」

「いい男もいないし。」

「俺みたいな?」

「また出た、俺!」

「ハハハ。」

全然悪びれない。

肉は私の倍くらい食べている。

ガツガツ食べていて見ていて気持ちがいい。

やっぱり男はこうじゃなきゃ。

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