定義はいらない
「何が食べたい?」

「信州っぽいもの。」

「蕎麦はこの時間はやってないしお腹が満たされないからダメ。」

「じゃあ何があるの?」

「ん~。肉じゃない?」

「焼き肉!」

「全然信州っぽくないけどいいのか?」

「焼き肉に間違いはない。」

「確かに。じゃあ焼き肉で。」

少し歩くと焼き肉屋はすぐに見つかった。

何軒か見た中で一番雰囲気の良さそうな焼き肉屋に入ることになった。

「いいじゃん。」

初めて2人きりで会う一応デートみたいなものなのに

『焼き肉』だなんて

本当にただの『友達』なんだなって思った。

でも全然悲しくなくて、その気安さが嬉しかった。

気兼ねのいらない関係ほどいいモノはない。

2人でビールを注文して乾杯をする。

「ではでは」

「再会に!」

「再会に!」

「乾杯!」

「乾杯!」

カツンとジョッキのなる音と黄金色のビール。

最高の夜だった。

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