定義はいらない
家デート当日、彼は大遅刻をした。


料理は冷めたし

私は待っている間に映画を1本見終わった。

映画を見ながら缶ビールを2本飲み終えた。

約束を4時間過ぎて

「今、着きました。」

というメールが届いた。


「ごめんね。何してたの?」

少しブスっとして言った。

「大丈夫だよ。」

「怒ってるでしょ?」

そう言って顔を覗き込まれると憎めないなって思う。


「ごめんね。」

そう言って手を繋がれると、もう怒れない。


「仕事だから仕方ないよ。」

「杏ちゃんのお陰で仕事がはかどったよ、ありがとう。」

握った手に力を込められたら、もう私は許してしまう。


「あぁ~お腹減った!」

そう言われたから手を離して私は腕を組んだ。



新しくDVDを借りてきて

二人で冷めたご飯をつついた。

見ながらムードが高まり

セックスをして

見られなかったシーンを巻き戻して

見終わると

彼は泊まりもせずに

「明日は野球だから」と言って帰って行った。


前回のデートと内容が全く同じだったと

寝る前に気付いた。

違うのはDVDくらい。


彼は私のことが好きじゃない。



気付いた瞬間だった。
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