シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「シャルル、しっぽ触っていい?」
エミリーはフリフリと動く尻尾をそっと触った。
よく手入れされた綺麗な毛並み―――
そう言えば、シャルルと間違えてアラン様の髪を掴んだことがあったっけ・・・。
シャルルは体を撫でる優しい手を受け入れ、クッションの上に丸まって気持ち良く眠っている。
電灯の明かりに、銀の毛並みがつやつやとしている。
「アラン様・・・」
今頃はきっとマリア姫と婚約してるわね。マリア姫に銀の鍵を渡して来たもの。
正室の部屋に入れたはずだし・・・あの夜に、お互いに愛を告げて結ばれたはずだわ。
脳裏に浮かぶのは、マリア姫とキスするアランの姿。
エミリーの胸がちくんと痛み、アメジストの瞳が見る間に曇っていく。
いいの、これで・・・マリア姫と結婚すれば、いらぬ負担を負わなくて済むもの。
その方がいいもの・・・。
アラン様の幸せはわたしの幸せ・・・きっと、幸せに・・・。
エミリーは窓の外を見やった。
空には月が一つだけ浮かび、星はまばらに小さく煌いていた。
「この空は、城には続いていないわね・・・」
ギディオンの空はこんなんじゃない。
降るような星空の中に浮かぶリンク王とシェラザード様の月。
“この花は月夜に咲くんだ”
あのときシャクジの森で見た、あの青白い花はもう咲いたかしら。
でも、きっともう枯れてしまってるわね。
だってあれは随分前のことだもの・・・。
昼間は、パパやママが頻繁に話しかけてきたり、掃除とか片付けとかの用事を言いつけてくるから、余計なことを考えることもないけれど。
こんな風に静かな夜は、嫌でも恋しい人のことを考えてしまう。
遠い遠い国に想いを馳せてしまう。
ギディオンで暮らした切なくも楽しかった日々。
今日はどんな天気だった?
メイは元気かしら。ジェフさんと結婚して、リングを外して貰えたかしら。
ウォルターさんは今日も難しい顔をしてるのかしら。
パトリックさんの挨拶、微笑みながら優雅に手を上げて・・・。
よく、城のメイドたちが騒いでいたっけ。
アラン様の威厳ある瞳。ブルーの瞳は今何を見てるのかしら。
アラン様は今、何をしてるのかしら―――
シャルルのあたたかさが眠気を誘い、徐々に瞼が重くなっていく。
園芸店での一件以来あまり眠っていなかった。
「シャルル・・・一緒に・・寝てくれる・・・?」
エミリーは、シャルルの体にそっと頬を寄せた。
エミリーはフリフリと動く尻尾をそっと触った。
よく手入れされた綺麗な毛並み―――
そう言えば、シャルルと間違えてアラン様の髪を掴んだことがあったっけ・・・。
シャルルは体を撫でる優しい手を受け入れ、クッションの上に丸まって気持ち良く眠っている。
電灯の明かりに、銀の毛並みがつやつやとしている。
「アラン様・・・」
今頃はきっとマリア姫と婚約してるわね。マリア姫に銀の鍵を渡して来たもの。
正室の部屋に入れたはずだし・・・あの夜に、お互いに愛を告げて結ばれたはずだわ。
脳裏に浮かぶのは、マリア姫とキスするアランの姿。
エミリーの胸がちくんと痛み、アメジストの瞳が見る間に曇っていく。
いいの、これで・・・マリア姫と結婚すれば、いらぬ負担を負わなくて済むもの。
その方がいいもの・・・。
アラン様の幸せはわたしの幸せ・・・きっと、幸せに・・・。
エミリーは窓の外を見やった。
空には月が一つだけ浮かび、星はまばらに小さく煌いていた。
「この空は、城には続いていないわね・・・」
ギディオンの空はこんなんじゃない。
降るような星空の中に浮かぶリンク王とシェラザード様の月。
“この花は月夜に咲くんだ”
あのときシャクジの森で見た、あの青白い花はもう咲いたかしら。
でも、きっともう枯れてしまってるわね。
だってあれは随分前のことだもの・・・。
昼間は、パパやママが頻繁に話しかけてきたり、掃除とか片付けとかの用事を言いつけてくるから、余計なことを考えることもないけれど。
こんな風に静かな夜は、嫌でも恋しい人のことを考えてしまう。
遠い遠い国に想いを馳せてしまう。
ギディオンで暮らした切なくも楽しかった日々。
今日はどんな天気だった?
メイは元気かしら。ジェフさんと結婚して、リングを外して貰えたかしら。
ウォルターさんは今日も難しい顔をしてるのかしら。
パトリックさんの挨拶、微笑みながら優雅に手を上げて・・・。
よく、城のメイドたちが騒いでいたっけ。
アラン様の威厳ある瞳。ブルーの瞳は今何を見てるのかしら。
アラン様は今、何をしてるのかしら―――
シャルルのあたたかさが眠気を誘い、徐々に瞼が重くなっていく。
園芸店での一件以来あまり眠っていなかった。
「シャルル・・・一緒に・・寝てくれる・・・?」
エミリーは、シャルルの体にそっと頬を寄せた。