シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
翌日の午後、エミリーの部屋のテラス。
桜色のワンピースを着たエミリーは椅子に座り、本を読んでいる。
パトリックに取ってもらったあの本だ。
古びた背表紙には擦れた文字で『ギディオン神話集』と書かれている。
何人もの人が読んだのであろう、マーキングや書き込みの跡があちこちにある。
本の裏表紙を見ると『サルマン校より寄贈』と書かれている。
時には学校の生徒たちの研究資料にもなったのだろう。
随分読み込まれたページには敗れた箇所を修理した後もある。
エミリーは一つ目の神話『深海のマリーナ』を読み進めている。
風がそよそよと艶めくブロンドの巻き毛にそよぐ。
腕には白い包帯が巻かれている。
その折れそうな細く白い腕の包帯は余計痛々しく見えるのか、皆に心配をかけてしまっている。
昨日夕暮れに部屋に来たメイに連れられて、政務塔にある医務室に行った。
医官に診てもらったら、軽い捻挫で安静にしていれば7日ほどで痛みは治まると言われた。
「痛みますか?」
心配そうに包帯の巻かれた腕を見るメイ。
何故だかどこで怪我をしたのか、まったく聞いてこない。
いつもなら煩いくらいに聞いてくるのに。
問い詰められたらどう答えようかと一生懸命考えていたものだから、なんだか拍子抜けしてしまった。
アランが帰ってくるまでにこの怪我は治りそうもない。
包帯を見たら、どうしたのかと聞かれるだろう。
「言い訳を考えておかなくちゃね・・・」
呟きながらテーブルの上を見る。
そこには銀のしおりが太陽の光を受けて煌めいていた。
桜色のワンピースを着たエミリーは椅子に座り、本を読んでいる。
パトリックに取ってもらったあの本だ。
古びた背表紙には擦れた文字で『ギディオン神話集』と書かれている。
何人もの人が読んだのであろう、マーキングや書き込みの跡があちこちにある。
本の裏表紙を見ると『サルマン校より寄贈』と書かれている。
時には学校の生徒たちの研究資料にもなったのだろう。
随分読み込まれたページには敗れた箇所を修理した後もある。
エミリーは一つ目の神話『深海のマリーナ』を読み進めている。
風がそよそよと艶めくブロンドの巻き毛にそよぐ。
腕には白い包帯が巻かれている。
その折れそうな細く白い腕の包帯は余計痛々しく見えるのか、皆に心配をかけてしまっている。
昨日夕暮れに部屋に来たメイに連れられて、政務塔にある医務室に行った。
医官に診てもらったら、軽い捻挫で安静にしていれば7日ほどで痛みは治まると言われた。
「痛みますか?」
心配そうに包帯の巻かれた腕を見るメイ。
何故だかどこで怪我をしたのか、まったく聞いてこない。
いつもなら煩いくらいに聞いてくるのに。
問い詰められたらどう答えようかと一生懸命考えていたものだから、なんだか拍子抜けしてしまった。
アランが帰ってくるまでにこの怪我は治りそうもない。
包帯を見たら、どうしたのかと聞かれるだろう。
「言い訳を考えておかなくちゃね・・・」
呟きながらテーブルの上を見る。
そこには銀のしおりが太陽の光を受けて煌めいていた。