俺様王子にご注意を
和也Side
「和也。今の噓でしょ?」
皿洗いを中断した母さんが口を
あけたまま俺を見ている。
「噓じゃねえよ。まぢだから。
クリスマスくらいいいだろ?」
クリスマスの話を母さんにした俺。
「...和也。そんな簡単な話しじゃないの。」
母さんは呆れたようにまた皿を持つ。
「分かってる。」
「いけませんっ!そんなこと。」
「...何で?」
「和也。あんた1人で九州に
来れるの?無理にきまってるじゃない。」
母さんはもう勝ったように俺を見ている。
「...適当に飛行機乗りゃいいだけだろ。」
「和也っ。そういう問題じゃないのよ!」
母さんは怒ったように俺をにらみつけた。
「...知っているんだぞ。」
「...は?」
母さんはとぼけた顔を見せる。
「母さん、今バツイチじゃねえよ。」
「はあ!?」
言ってはいけねえってわかってる...。
でも口が止まらない。
「俺の父親の前にもう一人父親が
いたんだろ?子供もいたんだろ?」
「っッ!?」
「昔、夜中に聞いたんだよ。親父と母さんが
話してモメているのを。」
母さんが唾を飲み込んだ音がきこえた。
「...それがどうかしたの?
そんな噓ばかね。楠木さんも
信じるわけないじゃないの。」
「...噓ついても無駄だぞ。」
「...和也。親をからかうのも
いい加減にしなさい!あんたって子は
最低ね!「最低はどっちだよっッ!」
「......。」
母さんは黙り込んだまま。