赤い狼 四
何故私が拳を震わせながら怒っているのか。
それは、数時間前にさかのぼる―――。
――数時間前のこと――
朋さんからの電話にテンションを上げていた。
『おーい、連れてきたぞ。』
「おお、朋さんさすがっ!」
『あー、それがな。』
「ん?なんだい、朋さん。」
言いずらそうに言葉を濁した朋さんに首を傾げる。
すると、朋さんが「怒るなよ。」と言ってハハハーと笑った。
「…おい。」
『ちょ、なんで急に酷くなった?』
「一種の愛情表現ですよ。」
『稚春の愛情表現は歪んでる…。』
「はよ喋れや。」
『ごめんなさい。』
いつまでもどうでもいいことばかり喋り続けている朋さんに小さくため息を吐く。
ちょっと。気合い入れすぎて朝の4時半に起きちゃって寝不足なんだからイライラさせないでよ。って自分が悪いんだけどさ。
『…今日、あの二人だけどな。』
「………。」
『拉致ってきた。』
「1、射殺。2、絞殺。3、刺殺。」
『どれもやめてくれ。』
馬鹿かテメェは。