赤い狼 四





拉致ってきてどーすんだよ。ってか拉致ってきたって何なの。普通に今日のこと約束してたら拉致なんてしなくていいじゃん。約束してたらさ。…………ん?約束?



ふと、一つの単語が気になってもう一度唱える。



約束…。うん。もしかしたらだけどね。もしかしたら。




「稚春の愛情が欲しい。」とかぬかしやがる朋さんに「消えて。」私の歪んだ愛情を与えて、そのまま「朋さん。」と声をかける。




『何だー?』



「あのさ、朋さんさ…、今日のこと優吾たちに言ってないとかないよね?」



『……………いや、そんなことあるわけねぇだろー。』





この野郎。



俺が話しとくっつったじゃねぇか。たっぷり間置いて嘘ついてんじゃねぇよ。



握りしめていた携帯がミシミシと音をたてた。おっと危ない。




「朋さん。」



『…はい。』



「まず刺殺ね。」



『"まず"って何だよ。"まず"って。』



「じゃあ射殺ね。」



『それ、刑重くなってっから。』



「だって慶吾と優吾、今日の予定は空いてるって朋さんが言ってたからこの日にしたのに!」



『おー。言った言った。でも本人から聞いたっつってねぇだろ?』



「………。」





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