恋愛スマイル
「もう二度とここに来ません」


決意を口にする。


「決して来ません。二度と迷惑をかけません」


なにが、あっても。


「だから、信じてくれませんか」


せめて、この想いが嘘でなかったことだけは。

「二度と私が訪れることなく、そうして私が卒業してここを去ってしまった後、
信じてくれませんか。私は先生が本当に好きだったと」


先生は黙っていた。


「証明しますから」


涙というものは、本当に卑しく

うっとおしい。

このとき私は、初めてそう思った。


「証明して、みせますから」


大好きな、
大好きな、
ひと。


「二度と迷惑をかけません」


ねえ、
あのとき私は、


「約束、です」


ちゃんと笑えて
いたのかな。




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