死せる朝日の会

何故ならば、若さ故の勢いとでも言うか、チャレンジ精神とでも言うか、俺は家にあった親父の車をこっそり持ち出してはドライブしていたからだ。普通ならバレそうなもんだが、いかんせん我が家では車を使う頻度が非常に低いため、多少のガソリンの減りや、駐車位置の違いが発見されなかったからだ。
「飛ばしてよね運転手さん。巾境神社（キンサカイジンジャ）までお願い。」
さっさと後部座席に座り込んだユリスは、カバンからコーラを取り出して俺に渡した。
「コーラはもういい。とりあえずほら、他の幹部に連絡してくれ。」
俺は今日、一切コーラを飲んでいないが、なんとなく嫌気がさしていた。コーラをユリスに返してから、俺は上着の中に入っていた携帯をユリスに渡す。それはアリから渡されていた物で、リーダー専用携帯と聞かされている。リーダー専用なのに赤く無いとはな。受け取ったユリスは手早く電話をかけ始める。 巾境神社か、しまったな、先に用件を聞けば良かった。車のエンジンをかけてから後部のユリスを見る、しばらくは話しかけられそうには無いな。