死せる朝日の会
他に何も音の聞こえないこの状況のせいか、彼の澄んだ声はよく響いた。
その声に違和感のある懐かしさを感じながら俺は理解した。 今の俺の状況を、彼の事を、そしてこれからの事さえも。 どうしようも無いくらいの絶望感が俺を襲ったが、それさえも俺には無駄な事のように思えた。「俺は失敗したみたいだな?」
俺は久しぶりに声を発した。 随分と喉が枯れていたが、彼は聞き取ってくれたらしい。
「ええ。 あなたは我々の用意したチャンスを掴む事はできませんでした。 本当に惜しかった。 全てはルーベンスのシナリオが示した通りになってしまったみたいです。」
それまで無表情だった彼だったが、この時だけわずかに表情を曇らせたのだった。そして再び無表情に戻った彼は、俺に一つの提案をするのだった。 この時点ですでに状況を理解している俺には、その内容はを聞かなくても内容は予想できていた。
「わかってるよ、俺が諦めない限りは、世界は平穏なんだろう」
俺の心はまだ折れてない。 絶望はもう飽きた、後悔も涙も忘れた。
「わかりました。 一緒に日を灯しましょう。 私も舞台に上がります、あの日の皆との約束を果たす為に」
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