死せる朝日の会

最後の俺に

4月中旬、まだ朝は若干の肌寒さを残したまま訪れる。 時計を見ると五時半を少し過ぎていた。 起きるにはまだ早かったが、二度寝したいと思う程でもなかったので、とりあえず起きる事にした。
 冷蔵庫を開け、中に冷やしてある缶コーヒーを取り出す。 一般的には朝はホットコーヒーなのだろうが、俺の場合は年中アイスコーヒーだ。俺を癒やしてくれる相棒を片手に持ち、居間のソファーに腰掛ける。 テレビをつけるとニュース番組をやっていた。外国のどこかでクーデターが起きたらしく、街がひどい状況になっているのが報道されていた。それを何となく見ていた俺だったが、ふいに何かが頭をよぎった。 あれ? 確か昨日見た夢ってあんな感じじゃなかったかな? 夜の廃墟で誰かと話をしてたよな気がする。楽しい夢じゃなかったけど、凄く大切な事だった気がする。しばらく自分の記憶の糸を辿ってみるが、いまいち思い出せない。夢というやつは、なかなか鮮明には記憶してないのが常。結局どんな話をしていたか思い出せないまま、俺は学校に行く為家を出た。当然、その時には既に夢の事なんて忘れてしまっていた。
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