死せる朝日の会
ジュンイは黙って俺を見ていたが、しばらくして、
「記憶が無いなら、理解できないかもしれませんね。あの時の世界の悲惨さを。 とても言葉で表現できるレベルじゃありませんでした。ましてそのまま神になろうなどと、考えられません。」
とつぶやいた。その雰囲気では、さすがにこれ以上は何も聞けないかも。
「確かに想像できる範囲は越えてるよ。 んで、残り二つのルールは何だ?」
まさか、新米神様に雇用保険の請求じゃないだろうな? だいぶ気持ちが落ち着いてきた俺は、いつもと同じように余分な事まで連想していた。
「他のルールは、それほどの物ではありません。 私達が、時間を遡っての世界救済を選択した場合、神様はそれをサポートする事。それと、全てが終わるまで、黒い衣服を着用するとこ。の二つです」
サポートはともかくとして、
「黒い衣服? 何の為だ?」
俺の脳裏に、黒いスーツの社長が見えた。
「さあ? 詳しくは知りませんが、結構重要みたいですよ。世界に対する、謝罪の気持ちを表してるそうなんです。」
黒い神様か。まるで出来の悪いSF映画だな。
< 40 / 258 >

この作品をシェア

pagetop