死せる朝日の会
俺としては、もう少し早く割って入って欲しかった気がした。その時点で既に、ヒステリック気味になったユリスとリンダから受けた張り手やひっかき等の攻撃で、俺は無残な状態になっていたからだ。 しかし、アイリスからは何も聞いてないぞ、いきなり現れてそして去って行った。それだけだ。
「いや、本当に何も聞いてない。だからあいつの言っていた“返事“の意味もわからないんだ。みんなだって見てたろ? あの状況で俺にだけ何かを言うなんて無理だ。」
一体みんなは何を警戒しているのだろうか? 命に関わる事だとアリは言うが、ユリスとリンダの反応は何か違和感を感じる物だった。
その時、なんとなくパステルを見ると、彼女は自分の左手を指差して、俺に何かを訴えかけていた。その合図に促されて、俺は自分の左手を見る。すると、俺の左手首に、何らや細く折られた紙が巻きつけられていた。まるで矢文に付いてる手紙のように。
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