Tokyo Midnight
Tokyo Midnight【1】
「ありがとうございました」

最後のお客様を送り出して、私はふぅとため息を吐き出した。

午前2時。

露出の高いワンピースはクリスマスも近いこの時期には不相応で、私は肌をこすりながら店に戻った。

東京に来て2年。

短大を卒業した私は、なんの夢も見つけられないままバイトの延長でキャバ嬢になった。

仕事はそれなりに楽しいし、友達もいっぱい出来た。

だけど、心の穴は埋まらない。

どんなに稼いで人気のブランドバックを買っても、お客さんとの同伴で高級レストランに連れていってもらってもどうしようもないこの寂しさは埋められなかった。

タクシーに乗り、アパートに帰ると私は倒れるようにベットに横になった。
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