貴方の愛に捕らわれて

『あの、猛さん…離して…？』




「駄目だ。香織、俺の質問に答えろ。


何で泣いてる？何処か痛いのか？」




『え？泣いてるって……誰が？』




「気がついて無いのか？お前、泣きながら倒れてた」



眉間にくっきりとシワを寄せた猛さんの腕に、更に力が込められる。




『えっと…、別にどこも痛くないですよ。


なんか横になったらウトウトしちゃったみたい……です』




「なら、どうして泣いてた？」




切れ長の鋭い瞳が、どんな些細な事も見逃さないよう私を捕らえる。




泣いてた？私が？



なんでと言われても……




泣いたつもりなんて無いんだけど。