貴方の愛に捕らわれて

『猛さん、私、本当に泣いてました?』


「ああ。涙で頬が濡れていた」



言われてみれば、なんかほっぺたがゴワゴワしてるかも。



うーん……、なんでだろ。



そういえば香奈さんの言葉に、心が凍りつくような気持ちになったんだ…



そんな事をぼんやり思い出していたら、いつもより少し低い声の猛さんに意識を呼び戻された。




「香織。荷物を取りに行ってから何があった?

俺に全てを話してみろ」




全てを話すまで許してくれなさそうな雰囲気に、諦めのため息をついた私は、正直に話した。







猛さんは私の話しを終始無言で聞いていた。



その間ずっと大きな手が、背中を優しくさすってくれていた。



 
< 177 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop