貴方の愛に捕らわれて
15
 

猛side


週末の繁華街、世間は未だ不景気とはいえ、ここはかなりの賑わいを見せていた。



傘下の店を数件まわり、客層と帳簿に目を通す。



普段の見回りは下の者に任せているが、たまの週末には、視察と牽制を兼ねてふらりと店に顔を出す。



今日も気になっていた数件を回り、酒を飲みながら店内に視線をやる。



俺の席には、大体その店のナンバークラスがつくが、敢えて新人を同席さる事もある。



女と云う生き物は大概お喋り好きだ。ところがこの世界でトップを張るようなナンバークラスは、職業意識が高いようで口が堅く、店の内情を決して漏らさない。



だが、どこの世界もそんな出来たヤツばかりじゃない。



この世界にまだ馴染みのない新人なんかは、ナンバークラスしか座れない席に呼んでプライドちょっと擽ってやれば、簡単に聞かれもしない事まで、ペラペラ喋り出す。



ただコイツらしいの話は、馬鹿には出来ない。頭と尻は超軽量でも、人間関係をよくみ見てやがる。


 
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