貴方の愛に捕らわれて
「なんだ?このお嬢さんは」
そう言ってボケッと突っ立っている榊。
「お前医者だろ!早く何とかしろ」
俺が睨みつけると、「俺は外科医なんだがなぁ」とブツブツ言いながらも、香織の診察をするからと一旦部屋から出るように言われた。
診察を終えた榊に呼ばれて寝室に戻れば、細い腕に点滴をされた香織の姿が。
「とりあえず解熱剤と水分補給の為の点滴をしたよ。
悪いが、薬は処方箋を書いたから、これを持って薬局に行ってくれ」
榊の言葉を聞きながら香織の様子を見る。
先ほどよりは、幾分か楽になったように見える。
「それで何の病気だ?」
「ただの風邪だよ。それと貧血も起こしてるな」
診察の結果を聞けば拍子抜けするような答えが返って来た。
「おい、あんなに苦しんで意識もないんだぞ!本当に風邪なのか?」
「そりゃあ、40度近い高熱出してるんだから、震えも止まらんし意識も朦朧とするさ」
榊の説明に納得がいかない顔をしていると
「お前さんは、小さい頃から丈夫だったから分からんだろうが、体力や抵抗力のない人間は、ただの風邪でも高熱を出すんだよ」
そんなもんかと頷きながらも、俺は一番気になる事を確認する。
「それで、これで治るんだな?」