◇白黒恋争物語◆~運命の翼~
†心†

私は領汰に怒りながらも考えていた。






...小さい頃の領汰は優しかったのに..。なんて。






----------------


11年前・・・




私達が5歳の頃。



私は夕暮れの土手で花摘みに没頭してたんだっけな。


日が沈んでいくのも気づかずにひたすら花摘みをしてた。





「棗ちゃん。何してるの?お母さんは?こんな時間まで土手にいちゃダメだよ」




と近所に住むおじちゃんが声をかけてくれた。








「でもね、この花摘みたいの。いっぱい。いっぱい!」






「いっぱいって・・。何でだい?」














「領汰くんにあげるの!領汰くん風邪引いちゃったの!だからこのお花持って行くの!お見舞いに!」






「そうだったのかい。...領汰くんが風邪ねぇ。珍しいね、あの元気な領汰くんが..。・・でもね、もうそろそろ帰らないとお母さん達心配しちゃうよ。暗くなってくるし、一緒に帰ろう」





「待って!もう少しだけ待って!」








と私はしゃがみこみ花をひたすら摘んでいた。











その時...










「お~い!棗ちゃ~~~ん!!」




遠くから誰か私を呼んでいる。

そして駆け寄ってきた。



「・・ん・・?誰・・?」








そして私の前で息を切らせながら顔をあげた。



「棗ちゃん..はぁはぁ...。んんッ..何してるの..?」








「領汰くん!!!!」



「領汰くんじゃないか!風邪じゃなかったのかい?」




「今やっと熱が下がったんだ」




「ほんと!?領汰くん大丈夫?」


と泣きそうな目で領汰を見つめた。





「うん。大丈夫だよ。...棗ちゃんこそ心配したんだよ。暗くなってるのにお家にいないって言うから」





「ごめんね。..実はね、このお花領汰くんのお見舞いにあげたかったの」






「・・え。僕に?」

「うん」




すると領汰は私の髪をなでて

「ありがとう。棗ちゃん。僕のために・・」


と言ってくれた。




「領汰くん..うぁぁぁぁぁぁぁ~ん!あああああッ」





きっとあの頃の私にとって風邪とは、死にかかわるようなものだと思ってたんだ・・。



領汰が死んじゃうと思って...。











・・・


すると領汰は






< 9 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop